マイナンバー制でどこまで年収が把握されるのか?

2016年からマイナンバー制度が開始するために、2015年10月には各家庭に世帯人員全員分のマイナンバーが届く予定です。

マイナンバーで税の公平性、つまり“きちんと徴税すること”も目的の1つになっていると言います。

世帯の年収がガラス張りになっても、お宅は大丈夫でしょうか?

マイナンバーが届いたら会社員がしないといけない事

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マイナンバー制度というのを聞いたことがありますか?今年の10月には各世帯に世帯の人数分のマイナンバーが届く予定です。

企業では従業員の扶養家族分のマイナンバーを集める必要があるので、マイナンバーが届いたら、会社員の方は会社に奥さんや子供たち(0歳~成人でも扶養家族に入れていれば含まれます)や自分が扶養している父母などのマイナンバーを会社に申告する手続きが必要になります。

マイナンバーは、日本に在住している人は老若男女も国籍も問わずに全員に付けられる番号です。この番号でこれからは社会保険も税などを効率的に行政が行えることになります。

つまりこの番号を会社に知らせるということは、世帯の構成員年収の内訳が税務署にも社会保険庁にも筒抜けになるということになります。

マイナンバーを会社に把握されて何か問題があるのでしょうか?

・奥様がパートの方の場合

奥様が1か所だけでパートをしている場合はあまり問題ないと思いますが、特に注意したいのは1年で見ると複数の仕事をして、複数から収入を得た合計額が130万円の社会保険の加入者ラインを突破してしまっている場合です。

平日は事務職のパートしながら、お中元・お歳暮の繁忙期だけ土日にデパートでも働くなどの、働き者の奥様も中にはいるかもしれません。

事務職の仕事で130万円目一杯働いている場合、お中元・お歳暮シーズンの土日にだけ、数万円ずつ働いただけで国民年金・国民健康保険の加入者になってしまう可能性が出てきてしまいます。

マイナンバー制が無ければ、別々の雇用主から受け取ったそれほど大きくない収入の場合は見過ごされてきました。しかし、パートのみなさんの多くが130万円以内に収入を抑えるには、大きな意味があります。パートの収入の130万円の壁とよく言いますが、どんな壁なのかというと、被扶養者として配偶者の社会保険に加入できなくなる上限の収入です。

また、130万円の壁を突破してしまうと、配偶者特別控除の対象からも外れて夫の収入に対する課税額が増えます。

マイナンバーを会社に連絡したからといって、マイナンバーを使って奥様の年収を企業が調べることはできませんが、奥様の年収が130万円を超えていることは2016年度で判明してしまい、次年度には社会保険の対象者として勤務するパート先で社会保険に加入するか、国民年金や国民健康保険に加入するか選択を迫られることになるでしょう。

自分へのご褒美を買いたいばかりに、ちょっと頑張って働いた分が仇になって、社会保険を支払う事になれば手取り額がかえって少なくなってしまいます。

奥様の収入が勤労収入ばかりとは限りませんよね?

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投資が趣味の奥様なら、パート収入が130万円に届かなくても、投資の利益を源泉徴収課税で売買益が確定した時点で税金を都度収めずに、確定申告で収めている場合や、そもそも確定申告もせずに納税していなかった場合も、収入はすべて証券会社を通じて丸裸になってしまいます。

パート収入と合算したら130万円に届いてしまった!ということになりかねません。130万円には及ばないと思っていても、パート先が501人以上の大企業に1年以上勤めている人限定で、2016年には130万円の壁は106万円まで引き下げられます。

この傾向は今後も拡大するでしょう。

・子供の場合

子供でも社会保険における扶養者の考え方については同じなので、大学生でアルバイトを掛け持ちして1つのバイト先では130万円に満たなくても、合計で130万円を超えてしまうと20歳未満でもいずれかの社会保険に加入する義務が出てきます。

既に20歳過ぎていて親が子供に代わって国民年金を払っていれば、健康保険分をどこかの保険組合に加入して支払う必要が出てきてしまいます。

自営業の方の場合

自営業を営んでいて、奥様や身内の方を家族従業員として扱っている場合、実際には賃金を支払っていなくても支払っているかのように帳簿上操作していることは、実態としてはよくあるケースです。

しかし、マイナンバー制度の導入でこの賃金のお金の流れ自体に当局のチェックが入る恐れがあります。マイナンバー制によって税務関連の事務作業量は少なくなるため、余剰人員は脱税摘発に回すことで「税の公平性」を更なるものにすることが、マイナンバー制の目的の1つになっています。

摘発されない対応を今から税理士の方に相談しておくというのも良いでしょう。

マイナンバーで年収減になる人

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・投資していながら確定申告も源泉徴収分離課税もしていない人

証券会社を利用して投資している場合問題になるのが、口座が一般口座の場合と特定口座の源泉徴収なしを選択している場合です。証券会社の口座には個人が解説する一般的な口座は4種類あります。

◇一般口座
◇特定口座(源泉徴収あり)
◇特定口座(源泉徴収なし)
◇NISA口座

その他信用取引など特別な取引用の口座を持つ人もいますが、問題になるのは一般口座や特定口座(源泉徴収なし)の方で今まで確定申告していなかった人です。

確定申告しなくても、それほど多額の利益が出ていない場合は税務署からいちいちチェックされることは少なかったのですが、マイナンバーを通じて売買利益の他、配当金のような少額の利益まで管理される可能性があります。

20万円以上の利益があれば確定申告は必要です。FXでの投資など他の投資をしていて利益が年間20万円以上ありながら、確定申告の手間を省いている人に言えることです。

・副業に対して課税が厳しくなる

企業に勤める人以外でも、副業を持つ人は多くいます。この副業だけの収入に対して所得税がかかるほどの額103万円以上を稼いでいる人はもちろんですが、お小遣い程度の月額数万円の所得でも年間の合計金額が20万円以上であれば本来確定申告する必要があります。

月々2~3万円程度でも年額20万円を超えてしまい、副業代金を支払った事業者などがマイナンバー制度の利用をしていれば(普通しているハズ)税務署にはわかってしまうので、是非督促状が来ることがないように確定申告しておきましょう。

その結果、納税額が増えて手取りが減っても、督促状が来てから追徴課税されるよりはマシです。

ただし、個人的な知り合いの引越しを手伝ったお礼に1万円もらったなどの現金でのやり取りになる、個人的で少額なお手伝いに関してはマイナンバー制度上に乗りにくいのも確かです。

今後の副業のあり方も変わってくるかもしれません。逆にアフェリエイトなどは稼ぎは少額でも、契約している事業主が一般的には企業なので、マイナンバー制度からは逃れられません。

2015年10月23日更新 Salaree編集部

本記事は掲載時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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